誰にでも、理由もなく不安になって心臓がドキドキしたり、人前にでると緊張して声が出なかったりと、自分で自分をコントロールできなくなることがよ くあります。
これがある限度を越えると心身症ということになります。泌尿器科領域でよく見られる心身症には、男の人で、誰かが後ろに立つと緊張しておしっ こができなくなることや、またED(勃起障害)もこういったことが原因になっている場合があります。
排尿しようと力めば力むほど膀胱が反応せず、おしっこ の出口が詰まったようになることや、また、性交中陰茎の硬さを維持しなければと、あせればあせるほどどうにもならなくなる場合は、決して珍しいことではあ りません。
ただ、これが次にまた同じようになるかもしれないという不安のため、同じような状況を避けるようになれば問題です。なんとかしようとすればする ほどかえって症状が強くなってゆきます。
こういった場合には、北風と旅人のマントの寓話に解決のヒントがあるような気がいたします。自分の症状に対し本人 が間違った理解をしている場合も多くあり、客観的な検査により誤解を解き、時には薬物の助けを借りつつ治療を進めて行きます。

気にしないようにといった言葉は私自身も患者さんに対し良く 使ってきた言葉です。
男女を問わず、骨盤もしくは外陰部は、こういったなんとなく気になる症状を持ちやすい部位です。気にするまいと思っても気になるから 病院にこられるわけですから、検査の結果には異常がないから気にしないようにといわれても、納得の行かない方も多いかと思われます。
不快感の原因に、ある程度のみきわめをつけ、理由のない不安については客観的根拠を示したうえで気にしないですむように、また主観的に感じておられる不快感について可能な限り軽減し、気にならない状態を回復するよう努めたいと思います。