前立腺肥大症

前立腺は、膀胱から尿道のへの入り口をドーナツ状に取り巻いている臓器です。これが肥大することにより、尿道を細くし、尿が出にくくなります。
ただ、必ずしも肥大 の程度と症状は一致せず、また、高齢の男性が主にかかる疾患ですので、糖尿病などの慢性疾患、過去にうけた事故や手術の影響、年齢からくる膀胱の排尿筋の衰え、服用している薬剤等の影響を受けることも多く、手術をはじめとするさまざまな治療法の結果に対する満足度も一般には決して高いものではありません。
反面、最近の技術 の進歩により従来の内視鏡的切除術以外に、レーザー、高温度治療、ステント、薬物 治療など新しい治療法が実用化されるようになり、治療を受ける側も、する側も迷ってしまうことすらあるような状況です。排尿困難、頻尿、不快感、失禁、残尿感と いった症状のうち何にどの程度困っておられるのか、その原因が何でどんな治療法が ふさわしいのか、またそのために、射精、勃起といった性機能を犠牲にしても良いの か、そういった点を考慮しながら治療法を選択すべきだと考えます。

前立腺癌検診

前立腺癌は、生活の欧米化とともにわが国でも増加傾向にあり、特に50歳すぎから、年齢が高くなるにつれ増変えてまいります。
時には、社会的に広く知られた方がかかることもめずらしくなく、そういったニュースが流れるたびに、心配になって泌尿器科検訪れる方が増加いたします。
前立腺は膀胱の底にあって尿道を取り巻くように存在し、精液の一部である前立腺液を分泌し、男性の生殖機能に関係する臓器です。
癌のため前立腺が腫れますと、尿道を周囲から圧迫し、おしっこの勢いが弱くなることが考えられますが、これは、良性の肥大症でも起こることで、症状の上からは区別がつきません。
悪性化するのは前立腺の外側に多いとされており、症状が良性肥大症に比べて出にくいことや、小さな前立腺が悪性化した場合には、全く症状のでないこともあります。骨に転移した場合には、腰痛や、胸痛として見つかる場合もあります。

最近は血液中のPSAという腫瘍マーカーを測定することにより、簡単にかつ正確に前立腺癌の早期発見が可能となりました。
ただ、PSAの数字だけでは診断が確定するわけではなく、直腸もしくは会陰部から長い針で前立腺の組織を一部採取し、顕微鏡で観察する、生検という検査によって初めて癌かどうかが確定します。
PSAの値は年齢や前立腺の大きさに影響されますし、炎症やの前立腺への刺激などで癌以外の理由でも一時的に上昇する場合がありますのでPSA値だけをみて生検がなされるわけではありません。
通常泌尿器科ではPSA値、超音波による検査、触診の結果、年齢等を総合して生検が必要かどうかの判断を致します。
50歳をすぎた男性は年に1回程度は泌尿器科でPSAを含めた前立腺癌の検診を受けられることをお勧めいたします。